「初心忘れるべからず」という言葉がありますが、忙しい日々を送っているとつい怠慢になりがちで「初心」を忘れてしまいます。22年前に発足した企友会ですが、元々は1978年に発足していたトロントの「新企会」の存在が契機になったということです。当時、バンクーバー移住者の会で会長を務めていらっしゃった、久保谷ピーター氏を中心に移住者の会役員会で、「バンクーバーにも新企会と同じように、地元企業家らが集まれる会を作ろう」と話し合われたようです。
一昨年、企友会発足20周年記念行事に参加された久保谷さんと久しぶりにお会いして、旧交を温めることができました。久保谷さんには他の非営利事業団体でもお世話になったことがあり、私にとっては「初心」を顧みるよい機会となりました。いま縁があって、私も日系コミュニティやボランティア活動に携わるチャンスを得ています。その活動の中で、「何のために」「誰のために」ということを質問されたり自問自答することも時々あります。「自分がやらなくても誰かがやってくれるのではないか」という事もあります。
久保谷さんにもその事を確認したくて尋ねてみました。「1970-90年代、ボランティア活動で大変なこともたくさんあったと思いますが、その原動力となったものは何ですか?」の質問に、「仕事をしていると付き合いが限られていたのですが、コミュニティ活動をしていると様々な背景を持つ多くの人と出会い、多くの物事を学ぶことができます。ボランティアの継続は大変ですが、多くを学ぶ場所だと思えば、とてもやり甲斐がありましたよ」と久保谷さんは答えて下さいました。私も全く同感です。多岐にわたる歴史背景を持つ日系社会ですが、「コミュニティを見て育ち、育てられ、育てていきたい」という諸先輩方の思いを少しでも伝承していけたらと思います。
カナダに来た当時、英語の本、特に英語で書かれた詩をよく読んでいました。マザー・テレサがこよなく愛した詩(米国人作家ケント・M・キース)の一節ですが、ボランティア精神について参考になる部分がありましたので、書き出しておきます。
「何か良い事をすれば、何か利己的で不純な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでも、良い事をしなさい」
「今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい」(前中後略)
大きな事ができなくても、身近で小さな事からでよいという考え方も、マザー・テレサが遺していますが、今後もその精神で、企友会等でのボランティア活動を出来る範囲で継続していきたいと思います。日系コミュニティは日系人(移住者、日系カナダ人、駐在者、学生、ワーキングホリデー)ひとりひとりで構成されており、内外関係なく皆が一員として既に「日系コミュニティ」という列車に乗っている状態と仮定すればどうでしょうか。しばらくの間、私も乗客として外の景色を眺めていただけでした。企友会に参加されたい方は「企友会」車両にいつでも移動して覗いてみてください。興味をお持ちの方は、会員やボランティアとして積極的に参加してみてください。必ず「企友会のために」なりますし、きっと「自分のため」「誰かのため」になることでしょう。
企友会理事 堀田 直人

