社会人という組織の中で、上司から「カラスは何色だ」と聞かれて、当たり前に「カラスは黒です」と答える。にもかかわらず上司は「本当に黒か、黒くないカラスもいるんじゃないか」と問いを繰り返す。しつこく繰り返す上司に、やがて「黒くないカラスもいるかも知れません」と答える。すると上司は「白いカラスもいるんじゃないか」と言い出す。面倒くさくなって「白いカラスもいるかも知れません」と答える。すると上司はさらに「カラスは白なんじゃないか」と問いかける。しつこい上司に埒があかないので「カラスは白です」と答える。こう答えてしまったが最後、上司は間髪入れずに「カラスはなぜ白いか答えろ」という。「いやいや、私は最初から黒だと言ったじゃないですか」と言ってももう遅い。「今、お前はカラスは白いと言ったじゃないか、だからその理由を述べろ。それがお前の仕事だ」と言う流れの話でした。
勿論これはたとえ話で、話の結末は、役人の仕事にはこういう「カラスは白い」式の仕事が多いが、こうした仕事はその場しのぎの仕事で、いずれにしても先がないというものでした。
組織にしか属したことのない小生にとって、ビジネス起業の大変さは正直分かっていないのですが、書店でよくビジネス起業の成功体験について書かれている、いわゆるハウ・ツー本をよく目にします。しかし、ビジネスの成功を続ける秘訣を書いたものはあまり見かけません。当たり前かも知れませんが、たぶんビジネスの起業よりも、成功を継続することの方が難しいのだと思います。
勿論ビジネスもきれい事だけでは済まないのは承知していますが、前述のような会社という組織だけでなく、個人でビジネスを行っている場合でも、また日常生活の中でも、自問自答している時に「カラスは白い」のロジックを使っていないかを折々にチェックしてみることは、昨今のように不透明と言われている時代においては有益なのかも知れません。
あるいは逆の見方をすれば、これまでが不透明な時代だったために「カラスは白い」が通用したのであり、むしろビジネスをするにはクリアな時代になってきたと言えるのかも知れません。
企友会顧問 星 勇一

